イノセント・ワールド 榮藤彩香
あれからどれくらい経つのだろう。
彼は空を見上げた。いつもと変わらず、雪が降っている。
ふと、後ろを振り返る。そこには彼のつけた足跡以外に何もない。
あとどれだけ待ち続ければいいのだろう。
彼は目の前に広がる果てのない真っ白な世界を一歩、また一歩と歩き始めた。
*
「ここ、どこ?」
朦朧としていた意識が、はっきりと動き出す。気がつくと私は知らない場所に放り出されていた。
辺りを見回してみるが、このような場所には覚えがない。一面に広がった白い世界。それ以外に目に映るものは何もない。まるで、世界の果てにいるようだった。
とりあえず落ち着こうと深呼吸をする。そして改めて周りを見回すと、何かが引っ掛かった。
「ああ、そうか」
寒くない。辺りは一面雪で覆われ、さらに絶えず雪が降っているのに不思議と寒さは感じなかった。その場で腰を屈め、そっと地面に触れてみる。……冷たくない。
他にも変わった点はないかと立ち上がりながら意識を集中させる。……物音が一切しない。そのまま佇んでいたら、自分の鼓動が聞こえてきそうなほどこの世界は静寂に包まれていた。
何が起こったのだろう、なぜこんなところにいるのだろうと考え出して初めて、自分が何も覚えていないことに気がついた。いや、全部というわけではない。「紗希」という自分の名前だけは覚えていた。しかし、他のことは何も覚えていない。何か思い出せるのではないかと考えてみるが、思い出せそうにない。
「どうしよう……」
身体から力が抜け、その場にペタリと膝をついてしまう。寒くなかったはずなのに、身体がガタガタ震え出す。焦りと不安で頭がいっぱいになり、私はひたすら下を向いて「どうしよう」と呟くことしかできなかった。
しばらくそのまま項垂れていると、遠くの方から微かに物音が聞こえた。雪を踏みしめるときに聞こえる、あの独特な足音だ。ゆっくりとこちらに近づいて来る。
足音が止んだ。目の前の地面に青っぽい影が落ちている。
私はゆっくりと頭を上げ、影の主のことを見上げる。
そこにいたのは、どこか儚げな雰囲気のある男の人だった。
「どうしたの?」
とても温かみのある、優しい声だ。
彼は私の顔を覗き込みながら不思議そうに「なんで泣いてるの?」と訊いてきた。
その言葉を受けて頬に手をやる。濡れていた。
次から次へと涙が込み上げてくる。
「だって、怖かった……」
言い終わらないうちに私は大声を上げて泣き出してしまう。よかった、一人ぼっちじゃない。
彼はしばらく私の様子を眺め、そして何も言わずに私の横にそっと腰を下ろした。
「はい。ココア」
「……ありがとうございます」
彼が差し出したマグカップをそっと受け取り、匂いを嗅いでみる。甘い香りがする。一口飲むと、ほっとする味がした。
あの後彼は私が泣き止むのを待って、そのまま彼の家に連れて来てくれた。
「落ち着いた?」
ちょっと離れたところから彼が声を掛けてくる。私は黙って頷いた。
改めて彼の方に目をやる。歳は多分十代後半か、二十ちょっとくらい。背が高く、身体の線が細い。白いシャツにブルーのジーンズというシンプルな服装をしていて、黒というよりは茶色っぽい髪色によく似合っている。そして、女の子のように肌が白かった。一目見たときに儚げだという印象を持ったのは、この肌のせいだろう。
「名前、聞いてもいい?」
私の視線に気づいたのか、彼が微笑みながら話し掛けてくる。私は慌てて視線を外し、返事をした。
「紗希です」
彼は「ふむ、サキさんね……覚えた」と言いながら頷く。
私は頷き、言葉を続ける。
「あの、私も名前聞いていいですか?」
「俺はユウキ。よろしく」
彼は私に背を向け、何か探し物をするかのように動き出した。
しばらくの間、沈黙が続く。すると突然彼は箱の中をいじりながら「あったあった」と言ってこちらへ向き直った。
「はい、これ。隣の小屋の鍵。一応生活できるだけのものは揃っているから。何か足りないものがあったらいつでも言って」
言いながら私に鍵を差し出す。
ここに来るまでの間にあったいくつかの空き家のことだろうか。私はそれを受け取りながら、疑問を投げ掛ける。
「あの、気にならないんですか? 私がどこから来たのかとか」
彼は不思議そうに私の目を見て言う。
「だって記憶ないんでしょ? 聞いたって意味がない」
思わず立ち上がる。
「なんで知っているんですか? 私のこと、何か知っているんですか?」
相当必死な声をしていたのだろう。彼は申し訳なさそうに答えた。
「いや、君については何も知らない。ただ、俺もそうだから」
驚いて反応できなかった。彼はそのまま続ける。
「俺も最初の頃は自分の名前以外の記憶がなかったんだ。今は違うけど。そのうち思い出すから、気に病まない方がいい」
言い終わると彼は家の外に出るよう、私を促した。
「とりあえず、今日は混乱しているだろうから早く寝た方がいい。家、あっちだから」
私は彼が指差す方に行き、指示された家の前に立つ。
扉に手を掛け、そうっと押してみる。
扉は簡単に開き、私はその中に恐る恐る足を踏み入れた。
ドサっという音で目が覚めた。
目を擦りながら窓の外を見る。雪が高々と積もっていた。
部屋の中へ視線を移す。見知らぬ部屋に自分がいるという事実が、昨日起こったことが現実なのだと物語っていた。
とりあえず顔を洗おうと洗面所へ移動する。
昨日ユウキさんが言ったように、この部屋にはベッド、タオル、歯ブラシ、石鹸、そして服に至るまで、一通りのものが揃っていた。
洗顔後、鏡を見る。若干目が腫れていた。泣いた状態のままで寝てしまったのがいけなかった。
外に出ると、ユウキさんが火を起こしている最中だった。
「おはよう。眠れた?」
「おはようございます。しっかり眠ることができました」
「そう、よかった。朝ごはんできてるから、適当に座って」
私は言われるままに近くの椅子に腰掛けた。いい匂いがする。
「雪、ずっと降ってるんですね」
私は空を見上げる。昨日からずっと降り続いているようだ。
「俺が知っている限り、雪が止んだことないんじゃないかな」
彼はテーブルの上に料理を並べ、私の向かい側に腰掛けた。幸い、私たちのいる場所は屋根がついているため料理に被害はない。
「大したものないけど、どうぞ」
彼が用意してくれた朝食はパンに目玉焼き、サラダとコーヒーという質素なものだった。しかし、とても温かく、優しい味がした。
ちらりと彼の方を窺う。彼は気にした風もなく黙々と朝食を口に運んでいた。
「あの、ここはどこなんですか?」
思い切って訊いてみた。彼は口に入っていたものを飲み込んで答える。
「よくわからない」
「じゃあ、ユウキさんはいつからここにいるんですか?」
「どれくらいかね。ここにいると時間の感覚なくなるから」
「なんでここにいるのか、知っているんですか?」
「あのさ」
彼はパンを置いて、私と向き合う。
「焦ったって無意味だよ。昨日言った通り、そのうち全部思い出すから。それに最後の質問だけど」
彼は一拍置いて、私の目を見据えながら言う。
「それ、誰にも答えられないでしょ。生きている意味だって、運命だって、人にはそんなこと一生わからないんだから」
どこか悟ったような台詞だった。私は俯きながら弱々しく「はい」と呟いた。
「凹まないでよ。焦る気持ちも分かるし。でも、焦ってばかりいても仕方ないよって言いたいだけだから」
彼が宥めるような、励ますような声色で言う。
「そうですね……あの、最後に一つだけいいですか?」
「何?」
彼が了承の意を示す。
「ユウキさんはずっと一人でここにいるんですか?」
「いや……僕がここに来たときには、もう一人いたよ」
微妙な間が空き、言い終わると彼は俯き加減で小さく笑った。とても、寂しそうな笑顔だった。
もうこれ以上訊いてはいけない。私は心の奥でなんとなくそう思った。
その後二人は特に会話もせず、後片付けに取り掛かった。
「ユウキさんは普段何をしているんですか?」
朝食の後、お互いに言葉を交わさずにいたのだが、沈黙に耐え切れず私の方から話し掛けた。
「特になにも……強いて言えば、散歩とか」
「散歩ですか?」
一面の雪景色の中をわざわざ歩く意味があるのだろうか。
「うん。特にやることないし。その辺ぶらぶらすると気が紛れるというか、すっきりするというか」
「そうですか。じゃあ、私もやってみます」
彼はにっこりと笑いながら「意外とはまるよ」と言った。
その場でユウキさんと別れ、私は早速身支度を整えて散歩に出掛けた。
「本当に何もないんだなあ」
私は呟きながら雪を踏みしめ、前に進む。
どこを見ても代わり映えのしない景色が広がっていた。けれど、不思議と心が落ち着いていくような気がした。
なんだか、懐かしい気がする……。
私は立ち止まり、足元を見つめた。何か思い出せそうな気がする。
ああ、そうだ。確か、私の住んでいた地域にもよく雪が積もっていた。私は幼い頃から雪に足跡をつけて歩くことが好きで、よく早起きしてはまだ誰も踏んでいないまっさらな雪の上を延々と歩き続けていたのだ。
私はあの頃のように気の向くままに足跡をつけて歩いてみた。なぜだが、泣きそうになった。
散歩から帰ってくると、ユウキさんが窓を開け、室内から話し掛けてきた。
「おかえり。どうだった?」
「楽しかったです。それに、ちょっとだけ昔のことを思い出しました」
「そう、よかったね」
彼はそれだけ言うと自分の部屋に戻っていった。
その後私は彼の家から食材をもらい、二人分のカレーライスを作り、ユウキさんと一緒にちょっと早い夕食を取った。
お互いに、朝よりも気軽に会話を楽しめた。
この真っ白な世界に来て数日が過ぎた。ここでの生活にも大分慣れ、ユウキさんのことも少しずつ分かるようになってきた。
朝はすごく早起きで、私は未だに一度も彼より早く起きたことがない。几帳面な性格で、そのためこまめに部屋の掃除をしているようでよく部屋から物音が聞こえる。料理がうまく、シンプルで簡単なのだけどおいしいレシピをよく知っていた。そして、彼には触れられたくない部分があるらしい。それは主に彼の過去のことで、下手に詮索しようとすると彼はすぐに黙り込んでしまう。
一度だけ、彼の方から過去について話してくれたことがあった。
「俺がここに来たとき、ここには俺以外にもう一人暮らしている人がいたんだ」
夕食の席で野菜スープを飲みながら、彼が続ける。
「その人はアユミと言って、俺より少し年上だった。彼女は俺が来るずっと前からこの世界にいて、一人ぼっちでも笑顔を絶やさず生活しているような明るく強い人だった」
そう語るユウキさんは懐かしそうな、そして切なそうな顔をしていた。
「今、その人がどこにいるのか、知ってるんですか?」
私は夢中で訊いた。
「さあ……」
彼は肩を竦める。
「どこにいるんだろうね」
そう言いながら空を見上げるユウキさんの表情は今にも泣き出しそうだった。
あの日以来、ユウキさんが過去について話すことは一度もない。
一方私はというと、少しずつではあるが順調に自分のことを思い出していた。
幼い頃は田舎の方で暮らし、父の転勤がきっかけで中学生頃からは都心の方で生活していたこと。最初は都会の雰囲気に馴染めずにいたが、友達ができていくにつれて自然と慣れていったこと。あの頃は毎日が楽しかったように思われる。
過去のことを思い出すのは大概、散歩に出ているときだった。
しかし、不思議なことに思い出せるのは中学生頃までのことで、その後のことが一向に思い出せなかった。
その日も私はユウキさんと一緒に朝食を済ませ、一人で散歩に出掛けた。
相変わらず雪が止むような気配はない。私は空を見上げながら、黙々と雪の上を歩き続けた。
ふと、立ち止まって地面を見る。今日は雪が降ってはいるものの普段より明るいのか、地面に青っぽい自分の影が投影されていた。髪が長い。思っていたよりも時間が流れたのか、私はここに来たときと比べて髪が伸びていた。
私は雪の上に写し出されたシルエットをただ見つめる。――どこか、見覚えがある。
そう思った瞬間、私の頭に今まで感じたことのないような激痛が走った。思わず地面に手をついて支える。それでも、自分の影から目が離せなかった。
何か、重要なことを思い出せそうな気がする。そういう予感が、私の身体を駆け巡る。
頭の中がぐちゃぐちゃになる。気持ち悪い。
映像が、目の前に浮かんでは消えていく。
廊下、校庭、教室、屋上。そして、髪の長い女の子。それらの映像が、線を結ばないままに浮かんでは消えていく。
これは、私の高校のときの記憶だろうか。そう思うと、自然とさっきの映像が結びつき、より細かな部分も見えてくる。
女子トイレ、校庭の隅の花壇、汚された机、屋上のフェンス越しに見える風景。そして、泣きそうな顔の髪の長い女の子。
ああ、そうか。そうだったのか。
私はその場で意識を失い、倒れ込んだ。
気がつくと、私はベッドの中にいた。
上体を起こして、辺りを見回す。ユウキさんの姿があった。
「あ、気がついたんだ」
ユウキさんが起き上がろうとする私に気がついて諌めながら近づいて来る。
「まだ起きない方がいい。ごめんね、そのままにはしておけなかったから勝手に運ばせてもらいました」
彼はベッドの側にある椅子に腰掛けた。
「いえ……こちらこそ。迷惑掛けちゃって」
最後まで言い終わらないうちに、彼が言葉を被せてきた。
「いいよ。それよりも」
彼が私の目を見て言う。
「思い出したんでしょ? 自分のこと」
全身に緊張が走る。息が止まりそうだった。
彼は私の訊きたいことを悟ったように、答えた。
「俺も同じだったから」
私は目を伏せながら、自分のことを話し始めた。
当時、私は高校生だった。地元の高校に上がったおかげで中学時代からの友人も多く、毎日楽しく過ごしていた。
そして高校二年生になった頃、私たちのクラスに転校生がやって来た。その転校生はいかにも女の子らしく可憐で、どこか私たちと違う世界にいるような感じだった。そのせいか彼女は常に一人ぼっちで寂しそうに見えた。私は転校した経験があることから、彼女が心細いと思っていることが分かり、積極的に話し掛けた。私たちはすぐに仲良くなった。
こんな時期に転校生が来たことに疑問を持ったのだろう。彼女が学校に馴染み始めた頃、クラスの間である噂が流れ始めた。その噂によると、彼女は元々お嬢様校に通う社長令嬢であったのだが会社が多額の借金を抱えたまま倒産し、父親はそのまま蒸発。今はぼろアパートで病気の母親と一緒に暮らしているのだそうだ。
この噂を、退屈な日々に刺激を求めている女子高生が見逃すはずはなかった。
彼女はいつしか苛められるようになった。最初は本当に些細なことで、彼女も気に留めていなかったのだがそういう態度が苛めをどんどんエスカレートさせていく。
男子の苛めのように暴力こそ振るわないものの、女子の苛めは心を徐々に蝕んでいく。嘘で歪められた噂を流され、彼女の肩を持つものも苛められる。彼女の周りには次第に人がいなくなり、最後に残ったのは私だけだった。
友達だと思っていた人たちから苛められることで、私の心も少しずつ犯されていった。私はいつしか彼女を恨むようになり、最終的に彼女を裏切った。
私は友達を売った。保身のために、平気で人を裏切ったのだ。彼女も自分と同様に苦しんでいたのに。
私の裏切り行為を知った彼女は、涙を堪えるように歪に微笑み「苦しめてごめんね」と言った。
彼女はその日の夜、学校の屋上からその身を投げ出した。
それからの日々のことは、よく覚えていない。
彼女は最後まで私のことを思ってくれていたのに、私はそれを一番惨い形で裏切った。そのことだけが、私の頭を占拠した。
ある日私は彼女に償おうと、彼女の側に行こうと、彼女と同じ場所から飛び降りた。
「ここは、死後の世界なんでしょうか?」
全てを話した後、私はユウキさんに尋ねた。
「いや、違う。死後の世界じゃない」
彼は窓際に移動しながら続ける。
「ここは、生と死の境の世界らしいんだ。俺も詳しいことはわからないんだけど、前にそう聞かされた」
彼にそう話したのはアユミさんだろうか。
私はぼんやりそんなことを考えながら彼の言葉を聞く。
「つまり、私はまだ死んでないってことですか?」
彼は静かに頷いた。
「そう。ここにいる限り君は死んだわけじゃない。それに、過去のことを全て思い出したということは君には選択権がある」
元の世界で生き続けるか、このまま死ぬか。
言葉にされなくても想像がついた。
視界がぼやける。私は泣いていた。
「君の好きなようにできる。選択権は、君にあるのだから」
彼はそこで言葉を切り、私の頬を服の袖で拭う。
「だけど、答えはもう出ているんだろう?」
私は頷いた。何度も何度も、頷いた。
私は逃げた。彼女を苦しめたのは自分なのに、自責の念から逃れたくて、彼女のことを言い訳にした。そのことが、なによりも許せない。
彼女は最後まで私のことを思ってくれたのに、自分のせいで傷つけてしまったと自分のことを責めていたのに。
私はそんな彼女の気持ちを踏みにじった。そんな自分が、一番憎い。
「私はっ」
私は叫んだ。
「私は逃げた!彼女の気持ちを踏みにじった!だから、やり直したい。彼女の分も生きて償いたい!」
彼は静かに微笑んだ。
「じゃあ……行こう」
私は彼に連れられ、彼の家から外に出た。
彼は私の前を淡々と歩いていた。
この人はどうなんだろう。
私は彼の背中を見つめながら思う。
この人は、なんでここにずっといるんだろう。
彼がこの世界にいるのは、私と同じ理屈に違いない。なら、彼がここに留まる理由は?
そのことを問い掛けるのは、してはいけないことのような気がした。
「着いた」
彼が唐突に立ち止まる。そこは、私がこの世界に来たときに倒れていた場所だった。
「あの、どうすればいいんですか?」
彼はこちらを振り返る。
「そこに立って。戻りたい、生きたいって願えばいい」
彼は私の手を取り誘導する。そして手を離し、少し距離を取った。
ああ、いよいよだ。
自分の鼓動が早くなるのが分かる。
私は彼を真正面に見据えた。
「ユウキさん」
私の問い掛けに彼は「ん?」と首を傾げた。
「色々、ありがとうございました。それから」
私はそこで大きく息を吸い込む。
「アユミさんと会えるといいですね」
彼は私の言葉に小さく微笑んだ。
私の意識はそこで途絶えた。
*
雪が降っている。
彼は今日も空を見上げる。
あの子は今頃どうしているだろうか。
彼は笑みを浮かべ、歩みを進める。
目の前に広がるのは、果てのない雪景色。
今日も彼はこの真っ白な世界で一人、彼女を待ち続ける。
END
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